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【令和6年改定】放課後等デイサービスの最新のガイドラインをわかりやすく解説!


令和6年7月、放課後等デイサービスのガイドラインが新たに改訂されました。このガイドラインは、放課後等デイサービスを提供する事業者にとって、運営や支援の質を確保するための重要な指針です。平成24年に初めて策定されたガイドラインから、今回の改訂に至るまで、内容は大きく進化してきました。この記事では、ガイドライン改訂の背景や、具体的にどのような変更が行われたのかを分かりやすく解説します。放課後等デイサービスに関わるすべての方々に向けた、必見の情報です!

児童発達支援・放課後等デイサービスの最新のガイドラインをわかりやすく解説!

児童発達支援・放課後等デイサービスの「ガイドライン」とは?

令和6年7月、放課後等デイサービスガイドラインが改訂されました。

「放課後等デイサービス ガイドライン」とは、サービスの提供に関する基準や運営方法を示す指針です。このガイドラインは、厚生労働省が策定し、サービスの質の向上や安全性の確保を目的としています。

制度ができた平成24年に初めて発行されたガイドラインから令和6年のガイドラインに至るまで、その内容は大きく変更されています。

では、なぜ今回ガイドラインが大きく変化したのでしょうか。

それは、更なる支援の質の確保と向上を図るため、放課後等デイサービスにおける支援の内容を示し、一定の支援の質を担保するためです。

したがって今回、令和6年7月に示された新たなガイドラインを熟知して、放デイの運営体制や現場を確立することが事業者には求められています。

今回の記事では、平成24年と令和6年の主要な変更点を3つについて詳しく解説します。

令和6年7月 放課後等デイサービスのガイドラインの変更点

  • ガイドラインの目的と基本理念
  • 放課後等デイサービスの全体像
    • 放課後等デイサービス支援の2つの指針について
    • 放課後等デイサービスの支援における留意事項
  • 放課後等デイサービス計画の作成及び評価

1. 放デイ「ガイドライン」の目的と基本理念の変化

平成24年のガイドラインでは、支援の多様性を尊重しつつも、基本的な事項について共通認識を持つことを強調していました。

これにより、全国的に統一された支援の枠組みが提供されました。

一方で、令和6年度ガイドラインでは、こども家庭庁の設立とこども基本法の施行に伴い、こども施策の基本理念が強調されています。

特に、ウェルビーイングの視点が新たに加わり、子どもたちの全体的な幸福感と成長を重視する姿勢が明確になりました​​。

また、障害児支援に携わる者は、障害のある子どもの育ちと個別のニーズを共に保障するため、「5つの障害児支援の基本理念」が述べられています。

事業所にはこれらの基本理念を理解し、質の高い支援を提供することが求められています。具体的な方法も記載されているので、しっかりと読み込み、参考にしましょう。

  • 障害の特性を踏まえたニーズに応じた発達支援の提供
  • 合理的配慮の提供
  • 家族支援の重視
  • 地域社会への参加・包摂(インクルージョン)の推進
  • 事業所や関係機関と連携した切れ目のない支援の提供

これらの理念を実現するために、以下の具体的な方法を実施します。

  1. 障害の特性を踏まえたニーズに応じた発達支援の提供 

子どもの発達や障害の特性・行動の特徴を理解し、成長を促進し、将来の社会参加を支援します。5つの領域でアセスメントを行い、総合的な支援を提供します。また、二次障害を予防するために環境や関わり方を調整します。つまり、子どもの特性を評価し、その結果に基づいて個別の支援を行います。

  1. 合理的配慮の提供 

障害のある子どもに対しては、個々の障害の状態や発達過程・特性に応じた合理的な配慮が求められます。そのため、アセスメントの結果に基づいて必要な支援を提供することが重要です。

  1. 家族支援の重視 

子どもは家族や家庭生活から大きな影響を受けます。家族が子どもの障害を受け入れ、ありのままを肯定するプロセスは容易ではありません。そのため、定期的な面談を通して家族の心理的サポートを行い、負担を軽減します。

  1. 地域社会への参加・インクルージョンの推進 

本人や家族の意向を踏まえ、放課後児童クラブなど一般の子ども向け施策との併用や移行を支援します。また、地域で暮らす他の子どもとの交流を促進する取り組みも進めます。

5.事業所や関係機関と連携した切れ目のない支援の提供

子どもの豊かな成長を保障するため、支援者が連携し、地域全体で一体となって支援を提供します。担当者会議などを通じて共通の目標を設定し、困り感を共有することが大切です。

放課後等デイサービスガイドライン (2024.7.30)

2. 放課後等デイサービスの全体像

平成24年の制度設立時のガイドラインでは、主に日常生活の適切な支援提供に重点を置いていました。一方で令和6年ガイドラインでは、放デイの対象となる子どもの年齢層が広がり、支援の方法もより多様化していることを受け、内容が改訂されています。

特に、本人支援の5領域「健康・生活」、「運動・感覚」、「認知・行動」、「言語・コミュニケーション」、「人間関係・社会性」の視点を取り入れたアセスメントや包括的かつ丁寧なオーダーメイドの支援が提供されることが基本とされるようになりました。

また、支援の提供に当たっては、子どもの「いまの育ち」を充実させることと、短期的および長期的な視点を持つことが重要とされています。

ここでは主に2つの内容を詳しく記載します。

  • 放課後等デイサービス支援の具体的方法
  • 放課後等デイサービスの支援内容

放課後等デイサービス支援の具体的方法

平成24年ガイドラインでは、日常生活の支援に重点が置かれていましたが、具体的な専門的支援についての言及は限られていました。

令和6年ガイドラインでは、総合的支援と専門的支援の二つのアプローチが明確に区別されています。

総合的支援とは、本人支援の5領域全体を網羅した支援を指し、個々の子どものニーズに応じて包括的にサポートします。

一方で、専門的支援は、特定の領域に重点を置いた支援のことを指します。理学療法士や作業療法士等の専門性に基づいたアセスメントを行い、5領域のうち、特定(または複数)の領域に重点を置いた支援が計画的および個別・集中的に行われます。

一対一による個別支援だけでなく、個々のニーズに応じた配慮がされた上で、小集団等で行われる支援も含まれます。

放課後等デイサービスの支援内容

平成24年ガイドラインでは、支援内容の詳細な分類はありませんでした。自立支援と日常生活の充実のための活動、創作活動、地域交流の機会の提供、余暇の提供の4つが示されており、基本活動を複数組み合わせて支援を行うことが求められていました。

令和6年ガイドラインでは、放課後児童クラブ運営指針も参考に、目安として4つの区分に分けて、留意事項を示しています。

① おおむね6歳~8歳(小学校低学年)

  • 学校生活の中で、読み書きや計算の基本的技能を習得し、日常生活に必要な概念を学習し、係や当番等の社会的役割を担う中で、自らの成長を自覚していきます。一方で、同時にまだ解決できない課題にも直面し、他者と自己とを比較し、葛藤も経験します。
  • 遊び自体の楽しさの一致によって群れ集う集団構成が変化し、そこから仲間関係や友達関係に発展することがあります。ただし、遊びへの参加がその時の気分に大きく影響されるなど、幼児的な発達の特徴も残しています。
  • ものや人に対する興味が広がり、遊びの種類も多様になっていき、好奇心や興味が先に立って行動することが多いです。
  • 大人に見守られることで、努力し、課題を達成し、自信を深めていくことができます。この時期は大人の評価に依存しやすい時期です。

② おおむね9歳~10歳(小学校中学年)

  • 論理的な思考や抽象的な言語を用いた思考が始まります。道徳的な判断も、結果だけに注目するのではなく、動機を考慮し始めます。また、お金の役割等の社会の仕組みについても理解し始めます。
  • 遊びに必要な身体的技能がより高まります。
  • 同年代の集団や仲間を好み、大人に頼らずに活動しようとします。他者の視線や評価に一層敏感になります。
  • 言語や思考、人格等のこどもの発達諸領域における質的変化として表れる「9、10歳の節」と呼ばれる大きな変化を伴い、特有の内面的な葛藤がもたらされます。この時期に自己の多様な可能性を確信することは、発達上重要です。

③ おおむね11歳~12歳(小学校高学年)

  • 学校内外の生活を通じて、様々な知識が広がっていきます。また、自らの得意不得意を知るようになります。
  • 日常生活に必要な様々な概念を理解し、ある程度、計画性のある生活を営めるようになります。
  • 大人から一層自立的になり、少人数の仲間で「秘密の世界」を共有します。友情が芽生え、個人的な関係を大切にするようになります。
  • 身体面において第2次性徴が見られ、思春期・青年期の発達的特徴が芽生えます。しかし、性的発達には個人差が大きく、身体的発育に心理的発達が伴わない場合もあります。
  • 個々の子どもの性的な発達段階や性への興味・関心に応じ、心や身体の発育や発達に関して正しく理解することができるよう、性に関して学ぶ機会を多く作ることが重要です。

④ おおむね13歳以降(思春期)

  • 思春期は、子どもから大人へと心身ともに変化していく大切な時期であり、第2次性徴などの身体的変化や精神的変化に戸惑いを感じる時期です。こうした戸惑いと親からの自立を目指した一連の動きは、反抗的あるいは攻撃的な態度として表れることも多く、家族を含め周囲の大人の対応によっては情緒的・精神的に不安定となる危険性があります。
  • この時期、共通の立場にある仲間とお互いに共感し心を通じ合わせることで、危機を乗り越えていくことも可能となります。
  • 一方で、同じ年齢や同性の仲間との間に生じるストレスや心理的ショックなどが「劣等感」となって定着してしまうこともあります。
  • 思春期前に培われた自己有能感を基盤として、大人とだけではなく仲間との関係性も重視し、進学や就労など次のステージに向かう力が生まれるようにサポートすることが求められます。
  • 個々の子どもの性的な発達段階や性への興味・関心に応じ、心や身体の発育や発達に関する正しい理解をもとに適切な行動をとることができるよう、性に関して学ぶ機会を多く作ることが重要です。

放課後等デイサービスガイドライン (2024.7.30)

なお、この区分は、同年齢の子どもの均一的な発達の基準ではなく、個人差や障害の特性等によりその発達過程は様々であることを十分に理解した上で、あくまでも一人一人の子どもの発達過程を理解する目安として捉えるべきものです。

3. 個別支援計画書の作成と評価

平成24年のガイドラインでは、個別支援計画書の作成や評価についての詳細な規定はそれほど強調されていませんでした。

令和6年ガイドラインでは、個別支援計画書の作成と評価が重要な要素として明確に示されています。特に評価では、本人支援の5領域「健康・生活」、「運動・感覚」、「認知・行動」、「言語・コミュニケーション」、「人間関係・社会性」の視点等を踏まえたアセスメントを実施することが求められています。

また、支援内容など具体的に何をどのように支援をするのか記載することが大きく求められるようになりました。これにより、子ども一人ひとりのニーズに応じた計画的な支援がより強化されています。

AIセラピスト「co-mii」で最新のガイドラインに対応した質の高い支援を実現

令和6年の放課後等デイサービスガイドライン改訂により、支援の質を高めるための新たな基準が求められています。このガイドラインに対応し、質の高い支援を効率的に提供するために、AIセラピスト「co-mii」をご紹介します。

「co-mii」が実現できること

  1. 個別支援計画の効率化
    ガイドラインに基づいた個別支援計画書の作成を効率的に行うことができます。
  2. 5領域に対応したアセスメント総合的支援のサポート
    健康・生活、運動・感覚、認知・行動などの5領域にわたる包括的な支援を、精度の高いアセスメントから提供し、子どもファーストの支援を実現します。
  3. 総合的支援のサポート
    5領域ごとの支援内容を提案、モニタリングもco-miiで行えるため、より質の高い療育を実施することができます。

「co-mii」を活用して、ガイドラインに対応した質の高い支援を実現し、放課後等デイサービスの運営をさらに充実させていきましょう。

ご興味のある方は無料で導入のご相談をしていただけます。右下のオレンジ色のボタンからお気軽にお問い合わせください。

令和6年7月放課後等デイサービスのガイドライン改訂に関するまとめ

放課後等デイサービスガイドラインの改訂は、障害を持つ子どもたちへの支援が社会的にどれだけ重要視されているかを示しています。

平成24年から令和6年に至るまでのガイドラインの変更点は、支援の質の向上と子どもたちのウェルビーイングの実現に向けた努力を反映しています。

今後も、このようなガイドラインの進化を通じて、子どもたち一人ひとりが安心して成長できる環境が整備されていくことが期待されます。

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