コラム
法改正
2024.03.01
【放デイ】5領域の支援と個別支援計画書への反映方法をわかりやすく解説
令和6年法改正(報酬改定)放課後等デイサービスにおける5領域の支援と個別支援計画書への反映方法
目次
法改正における5領域の総合的支援のポイント
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要案(以下、報酬改定案とする)が提示され、放課後等デイサービスにおける支援の根本的な変化が迫っています。
報酬改定案では、質の高い発達支援を推進するため、「5領域を含む総合的な支援を提供すること」が基本とされています。これにより、従来のサービス提供の枠組みに加えて、5領域の総合的支援が重視されることになります。放課後等デイサービスでの支援は、単なる活動提供だけでなく、利用児の発達や必要性に応じた包括的なアプローチが求められます。今回の報酬改定がもたらす影響は多岐にわたり、事業所の運営や管理にも大きな変革が必要となるでしょう。
ここでは主に5領域の解説と個別支援計画書への反映方法について解説していきます。
放課後等デイサービスにおける5領域の支援とそのポイント
放課後等デイサービスにおける5領域の支援は、児童発達支援・放課後等デイサービスのガイドラインの発達支援の中にある本人支援で明記されています。これらの領域は以下の5つです。
- 心身の健康や生活に関する領域「健康・生活」
- 運動や感覚に関する領域「運動・感覚」
- 認知と行動に関する領域「認知・行動」
- 言語・コミュニケーションの獲得に関する領域「言語・コミュニケーション」
- 人との関わりに関する領域「人間関係・社会性」
これらの領域の支援内容は、お互いに関連して成り立っており、重なる部分もあります。この「本人支援」の大きな目標は、障害のある子どもが、将来、日常生活や社会生活を円滑に営めるようにするものであるとされています。以下、具体的な支援内容とポイントを整理しています。
①健康・生活
支援内容:健康状態の維持・改善、生活のリズムや生活習慣の形成、基本的生活スキルの獲得の支援
ポイント:健康な生活習慣の促進や、健康な心と生活のスキルの獲得が目指されます。これは、1人1人のお子さんが健やかな身体と心を持ち、日常生活を自立して送ることができるようにするためです。
②運動・感覚
支援内容:運動能力や感覚統合の支援
ポイント:感覚調整や運動能力の向上を図り、日常生活や学習活動における支障を軽減し、自己肯定感や自己効力感を高めます。
※補足:筆者は、「運動・感覚」の領域では、発達障害の場合は、感覚調整障害や協調運動や手先などに不器用さを併存されやすいと言われていることから、「感覚」、「微細運動」、「粗大運動」に分けて考えることで、よりお子さんの困り感を抱える理由を正確に把握できると考えています。
③認知・行動
支援内容: 認知機能の向上や適切な行動の獲得の支援
ポイント: 発達レベルに応じた教科学習の支援、認知の偏りに対する予防(誤学習)と状況に応じた適切な行動への対応力を養います
④言語・コミュニケーション
支援内容: 言語能力の向上やコミュニケーションスキルへの支援
ポイント: 適切なコミュニケーション能力の獲得や自己表現力の向上を図り、社会生活における関係性やコミュニケーション能力を高めます。また、読み書きの苦手さを抱えるお子さんに対してはサポートが必要になります。
⑤人間関係・社会性
支援内容:他者との関わりの中での社会性の発達と集団活動や社会参加の支援
ポイント:集団活動でのルールに合わせた行動等や社会参加の経験を通じて、他者との関係や社会性の向上を図り、社会生活における適応力を養います。
5領域の総合的支援の提供、未実施減算について
報酬改定案で下記のように示されています。
総合的な支援と支援内容の見える化を進める観点から、運営基準において、事業所に対して、5領域とのつながりを明確化した事業所全体の支援内容を示すプログラム(支援プログラム)の作成・公表を求めるとともに、未実施の場合の報酬の減算を設ける。なお、1年の経過措置期間を設ける
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について(概要)
令和5年12月6日 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 第44回(R5.12.6)厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 こども家庭庁支援局障害児支援課
※支援プログラム未公表減算【新設】
支援プログラム未公表減算 所定単位数の85%を算定(令和7年4月1日から適用)
この変更により、事業所はより具体的な支援プログラムの構築と公表が必要となります。
5領域の個別支援計画書の経過措置はいつまで?
5領域の支援内容について記載した個別支援計画書の経過措置は2024年10月31日までになっています。それまでの期間は現行の個別支援計画書に個別支援計画別表を追加で記入することで対応が可能とされています。
2024年10月31日以降は、個別支援計画書に5領域(「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」)とのつながりや、インクルージョン(障害児の地域社会への参加・包摂)の観点を踏まえた内容の記載が必要となります。対応が遅れた場合減算の対象となる場合もありますのでご注意ください。
また経過措置以降、計画時間及び延長支援に要する時間に関しては、個別支援計画書への記載又は引き続き別表に記載する形での対応が可能です。
(個別支援計画別表の記入例)
(5領域(「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」)とのつながりや、インクルージョン(障害児の地域社会への参加・包摂)の観点を踏まえた支援計画書の記入例)
参考資料:
・こども家庭庁支援局障害児支援課 令和6年5月17日事務連絡 【別紙1】個別支援計画の記載のポイント
・こども家庭庁支援局障害児支援課 令和6年5月17日事務連絡 【別紙2】個別支援計画書の記載のポイント 参考様式版
・こども家庭庁支援局障害児支援課 令和6年5月17日事務連絡 【別紙3】個別支援計画書(参考記載例)
5領域の個別支援計画への反映のポイント
個別支援計画への反映のポイントは、お子さんが各領域で抱える課題やニーズを正確に把握することから始まります。そのためには、5領域に関するアセスメントを行い、お子さんの状況や困りごとを明確に把握する必要があります。
アセスメントの結果をもとに、領域ごとに具体的な支援計画を策定します。例えば、健康・生活の領域では、日常生活のスキルや健康管理に関する支援を計画し、運動・感覚の領域では運動能力や感覚統合の向上を目指す等具体策を考えていきます。
このように、5領域に関するアセスメントを通じて、お子さんのニーズを把握し、その結果を元に具体的な支援計画を立案することが重要です。そして、立案した計画を実践に移すことで、お子さんの成長や発達を支援し、個別支援計画書に反映させることができます。
5領域を反映した個別支援計画書の例
以下のような様式で5領域を個別支援計画書に反映させる必要があります。記載の様式はあくまで一例ですので、様式に関しては自治体に確認するようにしましょう。
療育の5領域のまとめ
法改正によって、何かに特化した支援ではなく、5領域に対応した総合的支援を実施することが義務化されました。児童発達支援管理責任者はアセスメントをとる段階からこれらの5領域を意識して、個別支援計画書に反映させる必要があります。減算の対象にならないよう、法改正にしっかり対応しましょう。
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作業療法士として16年間療育現場に従事。作業療法士養成校での非常勤講師や、放課後等デイサービス・児童発達支援の職員向けの研修会の講師を務める。