コラム
2026.01.05
実際に運営してわかった「自費療育」のメリットとデメリット
今回は、実際に自費療育を運営してきた立場から、机上の理論ではなく「やってみて初めて分かったこと」を中心に、自費療育のメリットとデメリットをお伝えします。
「興味はあるけれど、情報が少なくて不安」「本当に事業として成り立つのか分からない」
そんな方に向けて、過去の自分が知りたかったことを整理しました。
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目次
自費療育とはどのような事業か
自費療育とは、利用料金を国や自治体の補助に頼らず、ご家族が全額自己負担で利用する療育サービスのことです。法定や自発の療育では、利用料の多くが公費で賄われ、ご家庭の負担は1割程度に抑えられています。一方で自費療育には補助がないため、費用負担は大きくなります。ただしその分、制度の枠に縛られず、子ども一人ひとりに合わせた柔軟な療育を提供できるという特徴があります。
私たちの施設における自費療育の設計
私たちの施設では、1回40分・完全個別対応の自費療育を行っています。
利用回数はご家庭に選んでいただきますが、脳の学習の観点から「繰り返しと継続」を重視し、月2回以上の利用を基本として提案しています。
療育開始までには、段階的なプロセスを設けています。
- 初回:発達検査と保護者面談による現状把握
- 2〜4回目:アセスメント期間
- 5回目:評価結果をもとにした療育計画の説明と同意
この流れを経て、6回目以降から1対1の自費療育が本格的にスタートします。
自費療育のメリット
柔軟で深い個別療育ができる
自費療育の最大のメリットは、一人ひとりの特性や困りごとにピンポイントで向き合えることです。集団活動が苦手だったA君は、個別の自費療育の中で「できないところを見られない環境」で課題に取り組むことができました。少しずつ「できた」という経験を積み重ねた結果、学校での発表にも前向きな変化が見られるようになりました。
集団療育では拾いきれない小さな変化を支えられる点は、自費療育ならではの価値です。
保護者の理解が深まり、家庭支援につながる
自費療育では、保護者との対話や説明に十分な時間を確保できます。宿題を巡って親子関係が悪化していたB君のケースでは、「やらない理由」をアセスメントによって整理し、書字への負担が大きいことを丁寧に共有しました。具体的な配慮方法を伝えることで、ご家庭での関わり方が変わり、結果としてB君自身も宿題に向き合えるようになりました。
療育が施設内で完結せず、生活全体に広がっていくことも大きなメリットです。
スタッフの専門性が育つ
自費療育では、セラピスト一人ひとりの判断力や専門性が求められます。その分、個別支援の経験が積み重なり、法定・自発の集団療育にも良い影響が波及します。
自費療育のデメリットと向き合い方
利用料金が全額自己負担になる
自費療育では、費用負担が利用継続の大きな判断材料になります。そのため私たちは、最初の3か月を「成果を実感する期間」と位置づけ、療育の目的と変化を見える形で共有しています。
スタッフの負担が増えやすい
個別対応が中心となるため、スタッフの負担は増えやすくなります。アセスメントの共通化や定期的なミーティング、研修を通じて、負担が一人に集中しない体制づくりを行っています。
事業の継続性が不安定になりやすい
自費療育は、保護者が「価値を実感できるかどうか」が継続利用に直結します。そのため、毎回の療育後に目的と結果をフィードバックし、必要に応じて家庭や学校への支援提案も行っています。
まとめ
自費療育は、始めれば自然とうまくいく事業ではありません。保護者の経済的負担、スタッフの負担、収益の不安定さ。これらを理解したうえで、最初から対策を設計しておくことが欠かせません。
一方で、自費療育には、「制度では届きにくい子どもに支援を届けられる」「保護者と深く伴走できる」「施設全体の療育の質が底上げされる」という大きな可能性があります。不安があるのは当然です。それでも「本当に必要な療育を届けたい」という想いがあるなら、自費療育は挑戦する価値のある取り組みだと、私は感じています。
出典:
【放デイ】自費療育事業のメリット・デメリット【2024年最新版】
https://www.youtube.com/watch?v=qW7XLZiHoro