発達障害の子どもに効果的な読み書きトレーニングとは?|家庭でできる実践法と注意点を解説


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お子さんの中には、「読み書きが苦手」という課題を抱える子が少なくありません。
「何度教えても覚えられない」「読むのに時間がかかる」と感じると、保護者の方も不安になりますよね。

この記事では、読み書きが苦手な子どもへの効果的なアプローチ方法を、家庭でも実践できる形で紹介します。無理なく力を伸ばすためのステップやトレーニング方法を具体的に解説します。

読み書きが苦手な子どもにどう向き合うべきか?

無理に練習させるのは逆効果になることも

「とにかく繰り返しやれば覚えるだろう」と思って無理に練習をさせると、子どもは苦手意識を強めてしまうことがあります。自信を失い、学習そのものを嫌いになるケースも少なくありません。

放置すると起こる可能性がある二次障害

読み書きの困難を放置しておくと、授業についていけずにストレスを感じたり、自己肯定感が下がったりすることがあります。やがて学校への拒否感や問題行動につながるリスクもあるため、早めの対応が重要です。

読み書きの困難は改善できる

「苦手=一生できない」と思われがちですが、実際には適切なトレーニングで改善できるケースが多くあります。大切なのは、子どもの状態に合わせて段階的に支援することです。

読み書きが苦手な子どもに共通する課題とは?

読む力と書く力は別々に育つ

一見似ている「読む」と「書く」という行為ですが、脳の使う部分が異なるため、別々の力として捉える必要があります。「読めない=書けない」わけではないのです。

原曲性学習障害(SLD)の可能性も

医師の診断により、読み書きの困難さに「限局性学習症(SLD)」が関係している場合もあります。ただし、診断がなくても苦手さを感じる子は多いため、支援が必要なケースを見極めることが大切です。

怠けているわけではない!脳の処理の問題

周囲の大人が「やる気がない」「サボっている」と誤解することもありますが、実際には音や文字を脳内でうまく処理できないという特性が背景にあります。

読みの力を伸ばす3ステップとトレーニング方法

ステップ1|文字を音に変換する「デコーディング力」

たとえば「魚」という漢字を見たときに、「さ」「か」「な」という音に分解して認識する力が必要です。このステップがうまくいかないと、読みがスムーズになりません。

ステップ2|音と意味を結びつける「理解力」

「さかな」という音と「海にいる生き物」という意味がつながることで、言葉として理解できるようになります。

ステップ3|スムーズに読む「流暢性」

単語を認識し、意味を理解したうえで、文章としてスラスラと読み進められる力が必要です。これができるようになると、読解力の向上にもつながります。

おすすめの読みのトレーニング方法

1. 眼球運動トレーニング(読むための目の準備)

読むという行為は、実は「目の動き」が大きく関係しています。

  • 固視(じっと見る力)
  • 輻輳・開散(寄り目・離れ目)
  • 衝動性眼球運動(視線を素早く移す)
  • 追従性眼球運動(動くものを追う)

これらの力を鍛えることで、読み飛ばしや行のずれを防ぎ、スムーズに読むことができるようになります。

例:吹き戻しを使って寄り目・離れ目を練習する。的当て遊びに応用すると楽しみながら取り組めます。

2. 音韻処理トレーニング(音の意識を高める)

音の構造を意識することは、読み能力の向上に直結します。

  • 単語をモーラ(拍)に分ける:「さかな」→3拍
  • 語頭音・語尾音を聞き分ける:「さ」「な」
  • 音を分解・入れ替える:「さかな」の「さ」と「な」を入れ替えると?

こうした遊び感覚のトレーニングを繰り返すことで、音の感覚が育ちます。

3. 遊びながら学べる工夫(カルタや言葉探し)

カルタ取りやしりとり、絵本の音読など、ゲーム性のある方法でトレーニングをすると、子どもが楽しく取り組めます。

トレーニングを効果的にするためのポイント

頻度は「毎日」が理想

短時間でもよいので、毎日コツコツ続けることが一番の近道です。

楽しく取り組める工夫をする

トレーニングを「お勉強」ではなく、「遊び」として捉えると子どもも前向きになります。道具やゲームを活用しましょう。

正しいステップを踏むことが重要

発達の段階に合った内容を選ぶことで、無理なくスキルが伸びていきます。焦らずステップアップを目指しましょう。

まとめ|読み書きが苦手でも焦らず、段階的に力を育てよう

読み書きの苦手さは、努力不足や性格の問題ではありません。発達の特性を理解したうえで、段階的にスキルを伸ばすことが何より大切です。

大人が理解し、適切に関わることで、子どもは自信を持って学習に向かうことができます。

発達の特性を理解したうえで、段階的にスキルを伸ばすことが何より大切です。

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