【新しい療育の考え方】フラット療育こそが今、放デイに必要です


いま、放課後等デイサービス(以下、放デイ)の現場では「運動特化」「学習特化」といった形で、活動を専門化する動きが進んでいます。
しかし、子どもの発達は本来、どれか一つに偏らせることが難しいものです。

その中で注目されているのが、「フラット療育」という新しい考え方です。
これは、特定の領域に焦点を当てるのではなく、子どもの心・体・社会性などを総合的に支援するアプローチです。

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法定ガイドラインが示す4つの基本活動

令和6年度の放デイ運営ガイドラインでは、子どもの自立と成長を支えるための4つの基本活動が示されています。

1.日常生活の充実と自立支援のための活動
 生活に必要なスキルを身につけ、遊びを通して自信や自己肯定感を育てていく支援です。

2.多様な遊びや体験活動
 自然や社会と関わる体験を通じて、興味や好奇心を広げていく活動です。自由な遊びの中に、挑戦や達成感を感じられる仕組みがあります。

3.地域交流の活動
 地域社会の中でさまざまな人と関わり、社会性や対人スキルを育む機会をつくる活動です。

4.子どもが主体的に参画できる活動
 活動内容やルールを子どもと一緒に考えることで、自己決定力や自分らしさを育てる取り組みです。

これらの4つの柱が、放デイの本来の支援の在り方を示しています。

特化型支援の課題

現場では、運動や学習など特定の活動に力を入れる放デイが増えています。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。ただし、偏りが生まれると子どもの本来の力を伸ばしづらくなることがあります。

・運動特化型では「体力づくり」が中心になり、自己肯定感や発達段階への配慮が不足しやすい
・学習特化型では「放課後に自由に過ごす時間」が減り、学びが負担になってしまう子もいる

放デイは塾でも習い事でもありません。子どもにとって「今、本当に必要な支援とは何か」を、立ち止まって見つめ直すことが大切です。

「フラット療育」という新しい考え方

「フラット療育」とは、大人の価値観で子どもを評価せず、偏りのない視点で支援するという考え方です。
子どもの発達は、次の5つの領域が互いに関わりながら育っていきます。

①健康・生活
②感覚・運動
③言語・コミュニケーション
④認知・行動
⑤人間関係・社会性

運動機能が伸びると、集中力やコミュニケーション力も高まり、学習意欲にもつながります。
どれか一つを伸ばすのではなく、全体のバランスを見ながら支援することが大切です。

具体例:運動が苦手な子どもの場合

運動が苦手なお子さんの支援では、運動スキルだけでなく、感覚や言語理解なども合わせて考えます。

・触覚に敏感で砂遊びを避ける場合 → やわらかいボールなど安心できる素材から始める
・言葉の指示がわかりにくい場合 → 絵カードや動画など視覚的なサポートを使う

このように、1つの課題にも複数の要素が関わっています。フラット療育では、それらをまとめて見ながら支援していきます。

子どもの「可能性を決めつけない」支援へ

フラット療育の根底にあるのは、「子どもの可能性を大人が決めつけない」という姿勢です。
ある施設では、以前は家族としか話せなかったお子さんが、スタッフとも自然に会話できるようになった事例があります。
偏りのない支援だったからこそ、こうした変化が生まれました。
大切なのは、子ども一人ひとりのペースに寄り添い、柔軟に支援を続けることです。

フラット療育に必要な3つの要素

最後に、フラット療育を実践するために大切な3つのポイントを整理します。

1.特定の理論や領域に子どもを当てはめないこと
2.5領域に基づいたアセスメント(評価)を行うこと
3.包括的な視点で、総合的に支援を行うこと

この3つを意識することで、子どもたちは自分の力を信じ、自信を持って成長していける環境が整っていきます。

まとめ

「フラット療育」は、これまでの特化型の考え方を否定するものではありません。
むしろ、それぞれの強みを生かしながら、子どもをより広い視点で支援していく新しいアプローチです。

放デイに求められているのは、療育方法の多様化ではなく、子ども一人ひとりをまっすぐに見つめる「フラットなまなざし」なのかもしれません。

出典:
【新しい療育の考え方】フラット療育こそが今放デイに必要です
https://www.youtube.com/watch?v=qW7XLZiHoro

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